このアプリについて
逆T字型の布基礎フーチング(小規模木造)の接地圧・底盤・偏心ねじれを、
グレー本(木造軸組工法住宅の許容応力度設計 2025年版)§2.6.3・§2.6.4 に沿って検定するツールです。
1つの通り・位置を「1ケース」として扱い、複数ケースをまとめて管理・計算書出力できます。
使い方(基本の流れ)
- 左の入力諸元に寸法・材料・上部荷重などを入力すると、右に結果(総合判定・検定比・力学モデル図)が即時に更新されます。
- 内容が固まったらツールバーの「✓ 確定」を押すと、その入力がケース一覧に追加され、入力欄は次の新規ケース用にリセットされます(確定するまで一覧には残りません)。
- 一覧の行をクリックすると、そのケースを呼び出して再編集できます(編集後は再度「✓ 確定」で上書き)。行右の ↑↓ で並び替え、× で削除します。
- 「🖨 計算書出力」で、現在編集中のケースのみ/確定済み全ケースを選んでA4計算書(省略モード)をブラウザ印刷・PDF保存できます。
- 入力一式は「💾 保存」でJSONに保存、「📂 開く」で読み込めます(確定済みケースと編集中の内容を保持)。
入力のポイント
- ①設計条件の寸法はmmで入力します(底盤は立上りを挟んで左右別に w₁・w₂ を入力。左右非対称=偏心ありに対応)。
- コンクリートは設計基準強度 Fcを入力。長期許容せん断 Lfs = min(Fc/30, 0.49+Fc/100) は自動算定されます。
- 上部荷重は複数パターンを入力でき、m あたり荷重が最大のものを自動採用します。
適用範囲・注意(先に確認)
- 適用は地上3階以下・高さ16m以下・延べ面積300m²以下の小規模木造(グレー本の適用範囲)。逆T字型 布基礎(連続基礎)が対象で、べた基礎・独立基礎は対象外。
- 仕様規定(平12建告第1347号 第4項)の最小底盤幅・配筋ピッチ・かぶり等は本アプリの対象外。別途確認のこと。
(1) 全体フロー
逆T字型の布基礎フーチング(小規模木造)について、次の3項目を検定する。
- 長期接地圧の検定(地盤の有効地耐力に対する余裕)— グレー本 §2.6.3 (1)
- 底盤片持ち部分の曲げに対する断面検定(必要鉄筋量に対する余裕)— グレー本 §2.6.3 (1)
- 偏心ねじれモーメントと基礎梁せん断力の複合応力検定 — グレー本 §2.6.4 (5)
(2) 上部荷重の採用方針
1本の通りで複数の柱軸力が載るとき、軸力の総和を布基礎長さで割って「m あたり荷重」を求める。
複数パターン(通り)を試算し、最も m あたり荷重の大きいものを採用する。
(3) 接地圧の検定 — グレー本 (2.6.3.1)〜(2.6.3.3)
$$ W = P_{top} + \gamma_c \cdot h_1 \cdot b \quad \text{[kN/m]} \tag{2.6.3.1a} $$
$$ \sigma_e = \dfrac{W}{B \cdot 1.0} \quad \text{[kN/m²]} \tag{2.6.3.1} $$
$$ f_e' = q_a - 20 \cdot D_f \quad (D_f = h_2+h_3) \tag{2.6.3.2} $$
$$ \eta_1 = \dfrac{\sigma_e}{f_e'} \leq 1.0 \tag{2.6.3.3} $$
[グレー本 §2.6.3 (1) 式 (2.6.3.1)〜(2.6.3.3)]
式 (2.6.3.2) の係数 20 [kN/m³] は B×Df 部分の土とコンクリートを合わせた単位体積重量の慣用値(グレー本 p.163 参照)。
(4) 底盤片持ち部分の検定 — グレー本 (2.6.3.4)〜(2.6.3.6)
$$ w = \sigma_e - \gamma_c \cdot h_3 \quad \text{(底盤自重控除)} $$
$$ L_c = \dfrac{B - b}{2} \quad \text{[m]} $$
$$ M_1 = \dfrac{w \cdot L_c^2}{2} \quad \text{[kN·m/m]} \tag{2.6.3.4} $$
$$ a_{t,req} = \dfrac{M_1 \times 10^6}{f_t \cdot j} \quad \text{[mm²/m]} \tag{2.6.3.5} $$
$$ \eta_2 = \dfrac{a_{t,req}}{a_{t,provided}} \leq 1.0 \tag{2.6.3.6} $$
[グレー本 §2.6.3 (1) 式 (2.6.3.4)〜(2.6.3.6)]
有効せい d、応力中心間距離 j は底盤の鉄筋中心までを 7cm とみなし、j = (7/8)d ≒ 70 mm を標準とする。
(5) 偏心ねじれモーメント検討 — グレー本 (2.6.4.6)〜(2.6.4.8)
$$ e = \left| \dfrac{B}{2} - x \right| \quad \text{(底盤中心 ⇒ 立上り芯の偏心距離)} $$
$$ W_f = W \cdot L_s \quad \text{[kN]} \quad \text{(区間内の総荷重)} $$
$$ M_e = \dfrac{W_f \cdot e}{2} \quad \text{[kN·m]} \tag{2.6.4.6} $$
$$ M_{eaL} = \dfrac{1.15}{3} \cdot b^2 \cdot D \cdot L_{fs} \cdot 1000 \quad \text{[kN·m]} \tag{2.6.4.7} $$
$$ \eta_3 = \left(\dfrac{M_e}{M_{eaL}}\right)^2 + \left(\dfrac{Q_L}{Q_{aL}}\right)^2 \leq 1.0 \tag{2.6.4.8} $$
[グレー本 §2.6.4 (5) 式 (2.6.4.6)〜(2.6.4.8)]
Lfs はコンクリートの長期許容せん断応力度。Fc=21 N/mm² のとき Lfs = Fc/30 = 0.70 N/mm²。
(6) 判定方法
上記 η1、η2、η3 のうち 最大値を ηmax とし、ηmax < 1.0 で総合判定 OK。
(7) 適用範囲・注意事項
- 適用範囲: 地上3階以下、高さ16m以下、延べ面積300m²以下の小規模木造建築物(グレー本適用範囲)
- 逆T字型 布基礎フーチング(連続基礎)が対象。べた基礎・独立基礎は対象外。
- (2.6.4.6)式の偏心ねじれは閉鎖型でない梁断面(コンクリートのせん断でねじれに抵抗)を前提。両端の直交基礎梁の間隔は 5.46m 以下とすること。
- 仕様規定(平12建告第1347号 第4項)の最小底盤幅・配筋ピッチ・かぶり等は本アプリの対象外。別途確認のこと。
(参考文献)
- 日本建築学会 編「木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2025年版)」(通称「グレー本」), 2025
- 日本建築学会 編「小規模建築物基礎設計指針」, 2008
- 平成12年建設省告示第1347号(基礎の構造方法)
- 令第38条、令第90条、令第91条